=ハマボウの咲く内湾=

 みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

 台風5号の進路と余波が心配ですが、梅雨明けはもう少し先になりそうです。田辺湾奥の静穏な海岸縁でハマボウの花が咲いています。この木は和歌山県では準絶滅危惧種に指定されております。古老によれば、かつて内ノ浦湾奥にもハマボウの群落があったが、昭和の南海大震災に伴う大津波で全滅したとのことです。その後、内ノ浦干潟公園の整備に伴って群落の再生が試みられてきました。

 内ノ浦・鳥の巣地区には貴重な天然木も何本かあります。梅雨時の今頃、高潮線直上で鮮やかな黄色の花を付けた枝ぶりの良い木を見つけたら、それは恐らくハマボウに違いありません。ハマボウは塩生植物ではあるけれど、いわゆるマングローブの範疇には含まれていません。蛇足ですが、マングローブとは特定の種類の木の呼称ではなく、潮間帯に育つ森もしくは森を形成する複数の樹木を指す用語として使われています。

 東南アジアのマングローブ水域は豊かな水産資源を育む揺りかごとして認識されています。また、2004年12月にスマトラ沖で発生した大地震によって励起された大津波に対してマングローブ林が天然の防波堤として被害軽減に大きな役割を果たしたのはよく知られた事実です。そうした有用性が認識されているにも拘わらず、エビ養殖や観光開発、木炭などの燃料として森の伐採が進み、マングローブ林の消失が進行しており大きな社会問題となっています。

鳥の巣半島のハマボウの花

 釣り場の水温は25℃前後で推移しています。7月前半のチヌ類の釣果は約0.5尾(一人当たり)で、一時の盛況から一転して下振れ気味となっています。アイゴハンターやアジハンターも母数に入っているため実際の釣果はもう少し良くなるはずですが、昨年、一昨年に比べるとやや物足りなさが残ります。今後の釣果に期待したいところです。その他の魚種としてアジ(豆アジ主体+良型)、シオ、ツバス、カイズ、カサゴなどが引き続き彩を添えています。

 当養殖場のイワガキ販売は終盤を迎えています。イワガキの産地として日本海側が有名です。鳥取県内では3つの主要な河川系の河口に主産地があって、味もそれぞれ微妙に異なるそうです。産地のお薦めの一品はフライとのことでした。鳥の巣の釣り場(=養殖場)は他の産地に比べると内湾性が強いためイワガキの身質にどういう影響がでているのか生産者サイドとして少し興味が湧いています。ハマボウの育つ沿岸環境。イワガキと何らかの関係があるはずです。