=里山は梅花 里海はヒロメ=

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

一月下旬は冬らしくない前線通過に伴う雨が続きました。北の各地は雪不足が伝えられているように、全国的に暖冬傾向です。気候フェーズの変化を疑わせます。紀南地方の里山では梅が花を咲かせ始めました。上古、春の花と言えば桜より梅であったと聴きます。私は桃に軍配を上げたいところですが、桃の華やぎより清楚な梅や桜が日本人の感性に訴えるのかもしれません。

釣り場の水温は強い北風が吹き荒れた先日、ついに12℃の今冬最低を記録し、以後13℃切れで推移しています。気温と強く連動する釣り場の水温変動パターンから、今頃がほぼ寒の底と見ています。1月前半のチヌ類は0.1尾強(一人当たり)に留まりました。現在、釣り場はすっかりアジワールドになっており、小型サイズは頻繁に爆釣です。時に乙姫様の差配で高級魚のヒラメやハマチが顔を見せます(「是非この機会をお見逃しなく!」)。一方でストイックなチヌ・ハンターにとっては文字通り冬の季節。ここは一つ「臥薪嘗胆」の心構えで来るべきシーズンに備えてください。昨年はチヌの動きが早めで3月頃から大物が続けて揚がりました。

小魚の群れを追って釣り場周辺に集まった鵜 ← 魚影は濃い!

里山に遅れじと海の中でも季節が遷っています。晩冬から早春の田辺湾は何といっても“ヒロメ”に尽きます。田辺地方で“ヒトハメ“とありますが、私が知る限り土地の古老は “メ”や“メェ”と呼び慣わしていました。今頃は標準和名(?)の“ヒロメ”が一般的になっているように見受けられます。この海藻、外見はワカメに似ているものの、やや小型でさっぱりした味が特徴で、みそ汁の具やシャブシャブ、酢の物にもお奨めです。珍しいところでは寿司も。余談ですが、“海草”ば通常アマモなどの顕花植物(陸上の植物の類縁)を指す語として区別しています。

この時期、漁港で先端部に細長い二股の棒が付いた長竿を載せた小舟を見つけたなら、それは正にヒロメ採りの舟です。箱眼鏡を片手に、この竿を使って海底に生えている海藻を巻き取ってくるのであるが、やみくもに海中に竿を突き刺せばOKというものではない。やはりそこは熟練の技が必要である。親戚筋の“ワカメ”に比べると“ヒロメ”は知名度・産額共に低いといっても地元ではメジャー、春の味覚としてこの味を求める根強いファンも多いのです。