=タチウオ来遊=

 

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

コスモスが見頃を迎え、数日前から金木犀の香りが漂っています。直近の台風14号は潮岬沖遠く進んだため、この辺りは比較的軽微な影響で済みました。気象庁が2日前まで近畿~関東南岸を掠めるコース予想をした中、鳥の巣半島の漁業関係者が「大した影響はないだろう」と小船を避港すらしなかったのは“さすがの読み”でした。ここに至れば、今夏の上陸台風ゼロの可能性も現実味を帯びてきます。

水温は引き続き下降局面に入っており、秋が一歩進んだここしばらくは25℃を幾分下回るレベルで推移しています。10月前半のチヌ類は20~30㎝台が主体で2.0尾(一人当たり)となりました。この時期はさすがに40㎝超級が殆ど姿を見せなくなっています。といっても、当釣り場では季節の移り変わりに伴う順当な推移です。

アジ類は中型サイズが10~30匹前後でやや上向きの兆候がみられます。他にはコノシロ、サバ幼魚、カサゴのサイドメニューに加えて、チャリコ、グレなどを拾うことができるようです。また、40~60㎝台のコロダイもポツポツと貌を見せています。アイゴは幼魚(通称バリコ)主体ながら数十匹程度の釣果が得られております。

穏やかな秋の早暁、釣り場の沖を行き交う小さな灯りはタチウオ狙いの小舟です。紀伊水道域はタチウオの好漁場として知られるが、田辺湾内に入ってくるのは“指2本半から3本(体高=大きさの目安を表す)”程度の個体が主体で、それもこの時期限定の現象です。岸近くでも群れるタチウオが目撃されています。餌の小魚を追っての結果とか。今年はタチウオが好漁なのか出漁する漁船の数・頻度共に多い印象を受けます。釣り場の一番台で何本か揚がっていますが、通常の仕掛けではなかなか取り込めないという話です。

早暁の湾内を行き交うタチウオ漁の小舟

スーパーの売り場にいけばタチウオは年中見かける魚種である。とはいえ、この季節が到来すると胃と頭が騒ぐのは幼いころからの刷り込みに違いない。子供の頃は田んぼでドジョウを獲り、これを餌にタチウオを釣った。近隣の田んぼからドジョウが姿を消して久しい近年は、もっぱら疑似餌を使う漁法に取って替わった。ドジョウが消えたのは農薬の影響であろう。油断してタチウオの鋭い歯で怪我をするのが頻繁であったが、むしろ朝早くて眠いのがつらかった記憶として強く刻まれている。

タチウオは日本のみならず近隣諸国でも人気が高い。お奨め料理を検索すれば次々と出てくることでも分かる。しかし、食材としてのタチウオの評価は西日本が東日本に比べて一歩勝っているように想う。漁獲の主体も西日本であろう。

淡白で飽きが来ない身質のタチウオは先に述べた通り食材として重宝されるだけでなく、身の脂成分は生活習慣病予防に効果アリといわれ、また、表面を彩る銀の成分グアニンは化粧品や人造真珠の材料として活用される(これらは以前にも紹介した:話題の種切れです)。

話は変わって、今冬の三重県のマガキ生産量の予想は平年の5~7割というニュースが入ってきた。昨年も悪かったので二年続きの不作となる。このニュースが格別気になるのは、新庄ガキも昨年は一昨年の半分以下と極端に落ち込んだからである。独自に事前調査を行った管理人仲間の話では、今年も垂下ロープが軽いということであった。二年続きで漁獲量低下がシンクロするなら、それは紀伊半島に共有するマガキの減耗要因”X”が存在するのかも知れない。