=研究者の部屋=

 

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

金木犀は先月下旬の大きな雨で一気に散ってしまい、里山では落葉がひっそりと進行中です。湾奥のタチウオ漁はシーズン終了となった模様です。釣り場も大陸から吹き降ろす北西の風が優勢となってきました。

秋本番を迎え水温は21℃を前後していますが、寒波襲来に伴って一時的に20℃を下回りました。透明度は乱高下しています。10月のチヌ類は小・中型魚主体に1.5尾(一人当たり)となりました。違いを出せるKさんがこの時期には珍しい45㎝超を取り込みました。日同じく、一番弟子で若手のホープU氏がちょっと小さめ(40㎝)で師匠の顔を立てたワンツーフィニッシュでした。しかし取りこぼしが無ければ、あるいは・・・という展開だったかもしれないのです。チヌ類は、例年通りであれば11月いっぱいは現在の水準を維持できると期待しています。

アジ類は先月末の爆釣後喰いが止まりました。原因ははっきりしません。しかし肉食獣も必要以上の狩りはしませんし、日本の漁師も効率は悪くても資源を残すことを第一に古来より漁を行ってきました。釣り場にもいろいろな意味でSDGs(持続的利用の視点)が必要かもしれない。

どうやらアイゴは11月の声と共にシーズン終了になった模様です。しばらくは拾いの名残魚で数匹程度の顔見世でしようか。また、ポツポツ揚がっていたオオモンハタの幼魚もそれ程長く続かないものと推察します。

違いを演出できる(?)チヌハンターKさん(傘の下)の雄姿

ウイルス感染症が猛威をふるう前、TVの報道番組では学術領域の見解を伺うにあたって当該分野を専門とする研究者がスタジオに呼ばれ、あるいは相手先を訪問して意見やコメント取りした映像が流されていた。移動が制限される昨今はインターネットを介したオンライン出演に切り替わった。専門家達は職場で受け答えしていると推察される。

かつて大学の先生の部屋は壁一面に設えられた書棚にびっしりと並んだ書籍が溢れかえっていた。集積された知に圧倒されると共に名を成した研究者の精神の在り様が伝わってきた。資料類の質と量は仕事のそれを左右したから随分身銭も切ったはずである。

最近のリモート映像は普段入り込めないアカデミズムの奥にある“先生方の仕事場”を垣間見せてくれる。それらから、部屋は概して小ぢんまりと狭く、書棚も蔵書も少ない印象を受ける。電子書籍や電子ジャーナルの普及によって場所をとる書籍類は縮減や敬遠される傾向にあるからかもしれない。今は電子媒体専門の図書館すらある。また、研究者の意識もいろいろな面で変化したようだ。そう言えば、弁舌もかつての朴訥とは打って変わって皆さん一様に滑らかである。

紙と電子媒体それぞれにメリットとデメリットがあるが、記録の保存期間の長さをみれば前者は少なくとも1000年以上の実績を持つのに対して電子データは数十年とされる。もっと長いのは岩石記録で、化石をある種のデータと考えるなら数十億年である。保存媒体の容体積と保存期間は逆相関を示している。電子データも更新していけば半永久的かもしれないが、強烈な磁気嵐の襲来、電子戦争等々、想定外の事態も起こりうる。これらに対し、我々はまだ十分な検証の機会を得ていない。

実体のある紙やインクには表面の文様だけではない情報が含まれている。それらから書籍の質感であったり、紙やインクの種類や産地、造られた年代情報のように様々なな情報が取り出せる。

紙と電子、どちらの媒体にウエイトを置くか、個人レベルでは好みや考え方の問題かもしれないが、国や組織レベルの記録保存という面では十分に考慮する余地がある。デジタル無くして社会が成り立たない段階にきていることは確かである。政府あげてデジタル化に猛進している。とはいえ、それが万能のツールというわけでもないはずである。

==お知らせ==

鳥の巣釣り場では季節恒例の養殖マガキの引き上げ作業が来襲から始まります。作業の進捗に伴って利用できない釣り台が出てきます。ご不便、不都合をお掛けする場合もありますが、ご理解を戴くと共にご承知置き下さいますようお願いいたします。