=霧の中の風景=

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

田辺湾奥ではハマボウの群落が花の盛りを迎えています。鮮やかな黄色をした大振りの花ですが、落花が近づくと僅かにピンク色を帯びてきます。かつてこの地に在った大きな群落が津波で流されたことは前に記しました。我々が現在目にするのは干潟公園の整備に伴って植林されたものです。

釣り場の直近水温(10時前後)は27~28℃を前後しておりますが、降雨に伴って急激な下降と揺り戻しを示しています。梅雨明けが予想される来週以降は徐々に上昇ししばらく30℃前後の高め傾向が続くと予想しています。この釣り場の最高水温期は7月後半~8月半ばです。

7月初めに湾奥を中心にヘテロシグマ赤潮(県情報)が発生して一週間ほど続きました。しかし現在は目立った変色水は認められていません。このためもあってか、透明度は幾分乱高下し、海底の貝を掬うツメバイ漁にも影響があったようです。

7月前半のチヌ類の釣果は1.4尾(一人あたり)となりました。爆釣に近い日もあれば翌日は一転反応が消える、といった乱高下の様相を呈しておりましたが、最近は比較的堅調に推移しているように想われます。魚体サイズは引き続き25~35㎝前後の小・中型が主体となり、たまに40㎝越えの良型が混じってくるといった状況です。

小アジ(10㎝前後か)に復調の兆しがみられ、また数は少ないものの底近くで25㎝前後の良型が釣れるなど、ある程度満足できる数が揚がっています。また、小アジを追ってかセイゴ(スズキ若漁)、シオ(カンパチ若漁)、ヒラメなどの高次捕食魚も廻ってきているようです。

アイゴは少し前から小型サイズが顔を見せはじめ、幸いにもか不幸にもかアジ狙いの竿にもそこそこ喰いついております。もちろんアイゴ専門家にとって「釣りに来て良かった!!」と実感する日が増えているように見受けられます。

 霧に包まれた釣り場(極めて珍しい瞬間)

コロナ感染防止で自粛が叫ばれて一年半。何かと息苦しい世相にあって、内ノ浦干潟公園は小さな子供連れの家族が集い、また犬を散歩させている愛犬家も多く、息抜きの場所になっているようです。

少し前のニュースであったが、こうしたペットの輸血を支えている供血犬の存在が採りあげられていました。我が国には動物の献血システムが整っていないため輸血が必要な場合に備えて動物病院などでは密かに飼育している犬がいるとのこと。極めて劣悪な条件下に置かれていることは容易に想像がつく。迂闊にもそうした実態を知らなかった。一般人はもとより愛犬家にもあまり知られていない実態ではないか。一方でこうした犬の余生(や遺棄されたペット)を救おうと尽力している人々もいることも間違いない。

それで思い出したのはカズオ・イシグロの小説「私を離さないで」である。これは臓器提供のために誕み出された人造人間をテーマに紡いだ物語である。ドラマ化もされたようだ。つい先般、出版が伝えられたれた最新作も上記テーマの延長上であろう。時代を先取りした作家の視点には敬意を表する。と偉そうに述べたものの、私には内容が重すぎて読み続けられない。従って未読である。

一般社会から隠された、或いは表に出てこない外形化された陰の部分がそこに在る。周りには様々な思惑が交錯しており、まるで霧の中に浮かぶ景色の如くもやっとしていて、すっぱりと切り取れない。重い現実である。