=春告げ魚参上=

 

皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

水仙が盛りを迎え、梅の花や寒桜が咲き始め、さらに下草も緑に替わりつつあります。冬枯れの里も春に向けた装いを整え始めました。季節は遷っていくものです。

直近の水温は15~16℃前後で微変動を繰り返しています。一時的現象と予想されますが、年末の透けるような透明度が戻っています。

2月前半のチヌ類は0.4匹(1人当たり:暫定値)でした。サイズは25~30cmで年末より幾らか大きくなっております。残念ながら、まだコンスタントな釣果が期待できるレベルには至っていません。

アジハンターが姿を見せないためアジ類の実態は不明です。但し、地元の漁業関係者の目撃情報では釣り場周辺に小アジが群れているとのことです。また、小魚を餌にするヒラメやメジロの釣果が記録されているほか、対岸の波止場には引き続きアジ狙いの太公望達が詰め掛けています。

他方、大物ハンターのIさんグループが狙い通りの成果を挙げています。資源保護の観点も心に留め置き戴ければ幸いです。

サゴシ(春告げ魚“サワラ”の若年魚)

“サワラ(鰆)”はサバ科に属する大型魚でマグロやカツオの親戚筋にあたります。日本周辺に生息し、特に瀬戸内海に春を告げる魚として名が通っています。田植えの時期に浅海に回遊してくる産卵群を刺し網で漁獲し、かの地では高級魚として極めて珍重されています。外海では脂がのった冬こそ美味とされるが、瀬戸内海では春イオこそが食や生活文化に深く根ざした存在となっており、これが無くては始まらないという側面がある。

サワラはブリなどと同様に成長に応じて呼び名が“サゴシ→ヤナギ→サワラ”と替る出世魚です。このように呼び名が変るのは漁獲対象としてのみならず人間社会への係わりが深いからに外ならず、例えばモンゴルでは馬の呼び名が年齢や性別に応じて細分されている(10ほども)のと同じような意味合いからでしよう。

紀伊水道は瀬戸内海産サワラの越冬場と考えられており、サワラは紀北における重要な漁獲対象種の一つです。今冬、田辺湾内で若魚にあたる“サゴシ”が数多く釣り上げられており、船釣りはもちろん磯釣りのルアーにも喰いついているとの情報が寄せられています。これまで地元住民がまるまる一匹の姿を見る機会はそうそうなかったのに(我が家の年寄りも「初めて姿を拝んだ」と云っておりました)、どういう要因からなのか?

田辺湾のサゴシが瀬戸内海系郡かどうかはっきりしないが、この時期にこの辺りをこのサイズで回遊しているなら外洋系の可能性が高そうである。専門家の見解を伺いたいところです。ただ、瀬戸内海以外では産卵群が集積するという話は聞かないから、小さな群れが様々な地域で産卵しているのかもしれない。

田辺湾内での好漁を反映してかスーパーの総菜売り場の新たな一品に加わっていました。身が柔らかくあしが速い魚ですが、ネット上で紹介される料理レシピの数は横綱・大関級です。知人からお隣韓国の朝食で定番の焼き魚がサゴシであると聴いたことがあります。しかし近隣での人気は世間の評判ほどでない印象を受けます。食べ慣れていないからでしよう。知り合いの漁業関係者は「釣るのは面白いが後の始末にやや苦慮する」と漏らしていました。因みに我が家では一夜干しの焼き物や鍋で有難く戴きました。