==生物(動物)の名前にまつわるお話(1)==
みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。
田辺地方は梅の収穫期を迎えています。今年は前報に記したように畑間で出来・不出来が際立っており、ある知り合いの農園は3日で終了したと話していました。一方別の知り合いは作柄が良かったのでしよう、釣り場当番日は決まって早朝から畑へ向かう一行の車列と行き交います。
目を海に転じれば、地域特産“ツメバイ”採りの小舟が目に入り、漁が盛期を迎えていることが判かります。その筋の情報によれば、五月下旬になって浅場に寄り付く貝が増えてきたとか。大潮回りのある日、小舟を操って掬い網で採捕する伝統漁のベテランHさんに加え、ごく沿岸をフィールドにするYさんの出動を見送りました。どちらもそこそこの漁模様と見受けられました。
釣り場の水温は先月の末から20℃を超えています。先の夜間冷却で一時的に下がったものの、直近は22℃を前後しています。
海は碧緑色がベースで透明度は中位です。波打ち際に海草から溶出した色素に因るとみられる赤変水はどうやら今年は現認できませんでした。
代わって(と云っては何ですが)規模の大きな赤潮が隣接する池田湾で、また内ノ浦湾で中規模のものが発生し、数日続きました。さらに先日の降雨の後に小規模のものが認められたものの、ほどなく消失しております。
赤潮の発生には幾つかの要因が指摘されております。ここ最近、田辺湾奥における赤潮現象の頻発は水域の富栄養化が関係しているのではないか、との懸念が募ります。
5月のチヌ類は1匹弱(1人当たり)となりました。獲物の主体は30㎝前後に遷ってきていますが、まだ40㎝級もぼちぼち揚がっています。またこの時期は型の良いヘダイがしばしば姿を見せています。
アジ類は好不調の波が巡る目まぐるしい状況は先に記した通りです。但し、数は出なくても型が揃ってきており、中には尺サイズも揚がっております。従ってハンター達はすこぶる意気軒高とまでは云えずとも、そのモチベーションはさほど下がっていなさそうです。
アイゴはプロ筋が地道にチャレンジを続けており、ここにきてぼちぼち成果も見え始めています。筏周りに大物が群れているとの情報はありますが、敵もなかなか慎重で、おいそれと針餌に喰いついて来ない模様です。
先日、カツオ一本釣り漁船の乗組員たちの海上生活を描いたドキュメンタリー番組が流れていました。視聴された方もおられましよう。魚との闘いは何処でも大変ですね。
季節の味覚 田辺湾産ツメバイ(=マガキガイ)2000円相当(卸値)
当地で”ツメバイ”と呼ぶ貝(巻貝)は標準和名を“マガキガイ”と云います。前者は地方名といわれるもので、地域によっては“チャンバラガイ(高知)”とか“キラジャー(沖縄)”などなど様々な呼び名があります。“チャンバラガイ”とはこの貝の特徴の一つである蓋の付いた足と水中の行動に由来するそうです。
標準和名“クロダイ”を関西圏で“チヌ”と呼べば通りが良くありませんか。従って、、出世魚と云われる“ブリ”などが成長に伴って呼び名が変っていくのとは意味合いがやや異なります。
因みに英名は“Stroberry Lipped Conch”となっていますが、恐らく他にも云い方はあり、そのうち上記のものを標準英名に指定したものと推察します。この点では標準和名と地方名の関係に近いと云えます。
地方名が多いのは水産物の特徴です。例えば”ニンジン”は日本全国どこでも対外”ニンジン”で通用します。“○○ニンジン”とか“□□ニンジン”というのは品種の違いを表していますが、余程のプレミアムでない限り通常は”ニンジン”とのみ名札が付いて販売棚に並んでいるのではないでしようか。
他方、海産物は地方名で販売されることが多そうです。何といっても我々は “マガキガイ”と聞いても食欲が喚起されません。恐らく「自分、それ何のこと?」と尋ねるはず。
と、ここまで記してフト想い出しました。魚でもアバウトな名前で流通しているものがありますね。例えば品名欄に“サバ”と記され、その下段もしくは横に(ノルウエー産)とか付記されている類です。
正確を期すならこの魚は“タイセイヨウサバ”と記されるべきものですが、輸入ものの“タコ”なども同類の”タコ”のみで、概して海外の産物名には消費者も拘りが薄く、馴染みのある日本名を仮借している印象です。なかには“白身魚“や“赤魚”なんていう本体がどういう魚種であるのか想像さえつかないものもありました。
羅臼昆布と利尻昆布は味が相当違うようで(私にはには分かりません)、どちらを使うか、日本の料理屋なら強い拘りがあるはず。でも海外では区別せず昆布(コンブ?)として販売されてることがままあります。一般消費者からクレームが無ければ差支えないということなのでしよう。個人的には魚種名ぐらいは知りたいところですけれど。