==生物(動物)の名前にまつわるお話(2)==

 

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。

田辺地方の梅の収穫は盛期を過ぎた模様です。「全体に不作だった」というのが梅農家の感想です。比較的健闘した農家もあったようですが「うちは良かった」と素直に喜べない雰囲気が感じられますね、こういう状況下では。

沿岸では“ツメバイ”漁が続けられています。ベテラン組合員氏も天気と海の具合を視ながら漁に精勤しています。

釣り場の水温は梅雨入りが遅れていることも相まって先日は25℃を超えました。通常は梅雨が明けてから観測されるレベルの水温です。「どうなる、今夏の水温は?」といささか心配が募ります。

海色のベースは碧緑、透明度は中位です。

6月前半のチヌ類は1.5匹(1人当たり)でした。月初めから比較的好調で、特に直近の1週間は高いレベルを維持しました。獲物は20~45㎝とサイズ幅が広く、40㎝超級もかなり揚がりました(前節よりも良いぐらい)。呼応するかのように、前節同様に型の良いヘダイがしばしば貌を見せておりました。

アジ類は一時ほど大物が揚がらないものの20~25㎝クラス主体で、わりと数を揃えられた模様です。「ついでに60㎝級のヒラメを取り込んでしまった」という方も・・。釣られた魚は間違いなく驚いたでしよう。が、釣った方の驚きも大きかったようです。

アイゴは昨年に比べれば低空飛行が続いています。筏周りに居付いているのですが、喰いつきが・・・。あるベテラン氏がしばしば釣果情報の収集に来場されます。しかしながら、「同じ○○ならチャレンジが一番」ではないでしようか。

注意喚起とお願い> 最近、釣り場で”アシナガバチ”の目撃が増えています。釣りの残餌を糧に筏で巣をつくります。毎年数例このハチに刺される案件が発生しております。納竿時に釣り台に餌を遺さないよう”洗浄徹底”にご協力をお願いします。

 

 驚き2連発、ヒラメ揚がる(ハンターT1さん、人生初とも・・)

 

先般、「地元で“ツメバイ”と呼び慣わす」との記事(釣り場通信09号)をアップした直後、お隣の南部町民の一人が“チャンバラガイ“と発されました。別の知り合いは地元標準名の”ツメバイ”だったので、同じ町内でも地区ごとに云い回しが異なる事例かもしれません。漁師町なら魚を追って他県の港に出入りするので、他所の云い方が定着している場合があり得ます。

さてやや堅苦しい話になりますが、折角なので生物(動物)の学名について触りだけ紹介します(→ 興味を抱かれたら図書館へ):

図鑑などで“マガキガイ”の項を見ると Strombus luhuanus Linnaeus, 1759という文字列が飛び込んできます。この文字列が学術的に正式なものとされる“マガキガイ”の”フル表記の学名”で、最初のStrombusは属名(苗字に相当?)、luhuanusが種小名と云いいいます(一郎とか花子に相当)。末尾2語はスエーデンの生物学者リンネが1759年に初めてこの貝に名前を付け公表した(原著者・年)ことを示しています。

学名はギリシャ語(例えばgigas=大きという意味)やラテン語(robustus=丈夫な)を出典とする場合が多いのですが、何れであってもラテン語化するのが定まりです。

ところで図鑑によっては “マガキガイ”の項に、学名としてConomurex luhuanus (Linnaeus,1758) という名が掲載されているかもしれません。これはある研究者(及びその後の研究者)が“マガキガイ”はリンネの原著に基づくStrombusではなくConomurexという一群の方が血統的により近い(あるいは収まりが良い)と考えたからです。

研究者間で意見が違う場合や後の近年の詳しい研究(例えば遺伝子の解析等)によって名前が変更されることはままあり、化石人類やほ乳類の学名でもそうした変遷を辿った例が多々あります。このように最初に提唱された属名が変更されていることは(命名者と公表年)をカッコに入れることで現しています。

学名には男性、女性、中性型と性別があり、種小名は属名の性に一致しています(属名が女性なら週証明も女性形)。上記マガキガイの事例では何れも男性形です。試しにマガキは“Crassostrea gigas”で、女性形の例として挙げておきましよう。大雑把に云えば、語尾に”a”が来る場合は女性系、他方”ーo” や”ーus”で終わるのは男性形という場合が多くなります。

“未知の生物発見”を目論むのは専門の研究者に限らず、市井の収集・愛好家にも大勢おります。彼・彼女らの見つけた珍しい生物が「「これまで全く知られていないものである」ことを証拠立てるには経験も知識も必要であるうえ、なかなか根気の要る仕事です。また名前を付けるにも先に一端を示したように細かな規則があり、しかも動物、植物、細菌等々生物群によって異なるため専門家でないと難しいことが多いものです。

「もしかしてこれは・・・??」と想われるレアーものを見つけた際は博物館等の専門家に尋ねるのが近道でしよう。大抵はぬか喜びに終わるのですが、極めて稀に大発見としてマスコミに取り挙げられていますね。地域で新発見とか色変わり個体を見つけた、ということならハードルは下がりますが、それらも貴重な情報です。何より「気づきは学ぶことより大事」とレイチェル・カーソンは看破しています。