鳥の巣釣り場通信(2025‐10)

===最初の一尾===

 

平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。

今の時期、落ち梅にビワが田舎道のあちこちで眼につきます。近頃はこれら先行組にヤマモモが加わってきました。ヤマモモの種は靴や車の溝に入り込むので厄介です。

ヤマモモは子供の頃の貴重なおやつでした。近頃の小学生はヤマモモを知らないということは以前記しました。地域を代表する樹種なのに残念。

ヤマモモを使った商品開発を進めている会社がお隣の上富田町にあります。ものは試しとヤマモモジャムを購入してみました。一番安価でしたが、それでもなかなかのお値段。でも「その価値をどう捉えるか?」、です。お味はう~ん・・・、個人の好みがありますから是非ともお試しください。

釣り場の水温は24℃前後で変動してきたのが、ここに来てついに25℃を超えてきました。もっとも今後順調に昇温するのでなく、天候に合わせて変動しつつ上昇するのがこの水域の特徴です。

透明度は中~低位で、蒼緑の水塊に覆われています。一般的に、朝方にやや良の見通しが午後になると落ちる日周変動が観察されます。

6月前半のチヌ類は0.6尾(一人当たり)でした。サイズとしては30㎝前後のものが増えてきた印象ですが、好調日には40㎝台が複数、さらに50㎝超えも揚がりました。傾向としては徐々に小型主体に移行するはずです。

アジ類は豆アジ主体で型の良いのは稀となっています。厄介なのは子サバが増え、レジャーとして愉しめるとはいえ、本格派にとって何とも厄介な存在になっている模様。曰く、「もう少し大きければなあ~」。

アイゴは引き続きマイスター連が挑戦中。釣果としては片手~両手前後というところです。

 

季節の海の恵み(ツメバイ)

 

田んぼ周りの水路や小さな河川で竿を片手にザリガニ釣りに嵩じる子供達の姿を目にしたことがあると想います。この子供たちが相手にしているのはアメリカザリガニと考えて間違いないでしよう。

日本国内にはこのアメリカザリガニの他にニホンザリガニとウチダザリガニの3種が生息しています。このうちニホンザリガニは北海道及び東北の一部地域に棲む日本固有の種で、残り2種はアメリカから日本に持ち込まれた移入種です。

洋物は身体も大きく逞しいのです。ご多分に漏れず、唯一の在来種であるニホンザリガニはこれら移入種に押されて生存が脅かされています。のみならず他の地域でも在来生物に大きな脅威を与えているのです。

アメリカザリガニは食用ガエル(=ウシガエル)の餌として鎌倉の養殖業者が20尾購入したものが最初で、初上陸の記念日(?)が1927(昭和2年)年5月12日であったとザリガニ研究者の川井博士が尽き止めています。

以降、逞しい生命力で分布域を拡大し、今や全国津々浦々の淡水域で確認されていますが、それらは全て20尾の鎌倉組に端を発した子孫と考えられています。

ウチダザリガニは高級食材と位置付けられ、大正~昭和初期にかけて複数回移入が試みられ、個人レベルや行政の旗振りによって全国各地で養殖が試みられました。そうした残存個体群が地域的に生き残り在来の淡水生態系に対する大きな脅威となっている模様である。

ザリガニについて中途半端な紹介で満足できない、もっと詳しく識りたいとお想いの方々、「ザリガニの博物誌」(川井唯史 東海大学会)あたりから初めては如何でしよう。

さて先に国内に生息するザリガニは3種類と記したのですが、近頃の報道では第4の種が定着しつつあるようです。これは通称“ミステリークレイフィッシュ”と呼ばれているザリガニで、単為生殖能(雌だけで繁殖が可能)を有することが明らかになっています。(この話題は上記の書籍に紹介されていません)。

十脚甲殻類(=エビ・カニの仲間)で単為生殖能力のあるものはこのザリガニ以外に知られておらず、その事実が初めて公にされたときは世界中の甲殻類学者を驚かせました。キリスト教的世界観では人間の先祖はアダムとイブですが、この場合アダムは出番がないのですね。

実はこのザリガニに極めて近い仲間がアメリカにおります。それがヨーロッパに移入され、(聞きかじりでは)水族館やペットショップ辺りで飼育されている間に突然変異が起こり、スーパーサイヤ人的能力を獲得したのではないか、と推測されているようです。

その特異な能力ゆえか、全く間にヨーロッパ全域に拡がり、あろうことか生物多様性の宝庫と云われるマダガスカルにまで辿り着いています。

このスーパーザリガニが観賞用として日本に入ってきたのは15年ほど昔のことと推察されます。当初から放流や水槽脱出によって野外で増えることが専門家の間で心配されておりました。残念ながら水槽から逃げ出したか或いは誰かが放流した一尾から世代を重ね、近年は国内の河川で増えつつある、ということです。

海の中にもよく似た出来事が起こっています。有名なのは通称“キラー海藻”と呼ばれるイチイズタの変異種で、この20年ほどの間に地中海で大発生し猛威を奮っています。それが世界中の温。熱帯域に拡がり国内でも奄美大島や沖縄で見つかっているとか。西暦2000年前後のヨーロッパでこうした変異生物を生み出す何らかの力が働いたのでしようかねえ・・!?

海藻ではありませんが、我が国では人為的に作出された交雑魚クエタマ(=クエ x タマカイ)が天然水域で増えており、関係者の間に懸念が広がっています。

他方で希望を持って良いのか悪いのか判然としませんが、鳥ノ巣半島ではこの20年来アフリカ原産のアフリカツメガエルが繁殖して問題となっておりました。

このカエルは実験動物として国内に入ったものですが、それがどのようにして鳥ノ巣半島に植民地を築くようになったのかよく分かっていません。幸いにも県や地元の環境団体、県立中高校生物部の地道な駆除活動によって著しく個体数が減り、最近2年間は捕獲実績がないそうです。

カエルの方は「俺たちは無理やり生活場所を奪われた」と嘆いているかもしれませんが、鳥ノ巣半島での取り組みがこのカエルの駆除に関する数少ない成功事例となり得るかもしれません。

本来の生息場所でない地域への外来種の侵入はしばしば生態系に大きな影響を引き起こしますが、多くの場合その背後に人間の活動があります。人間こそ一番の“外来侵入生物“であるという福岡伸一の指摘は極めて的を得たものと感じざるをえません。

鳥の巣釣り場通信(2025‐09)

===食べものにまつわるあれこれ===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 つい先ごろまで香を放つ植物があちこちで観賞されたのですが、既にシーズンが終了した模様です。夜明けと共に甘い匂いの消え去った田舎道を軽トラが車列をなして畑へと向かっています。多くは梅取り軍団、ごく一部がビワ農家でしようか?...

鳥の巣釣り場通信(2025‐08)

===タコ・イカから目が離せない===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 米つくりが盛んな隣接地域の田んぼに水が入り始め、田植え関連の作業が急ピッチで進んでいます。片や一月前に作業が済んだ鳥の巣地区は苗が育って青田に替わってきました。なかでも肥料が利いた水田は株の張りが立派です。これに比べると痩せづくりの我が家はかなり見劣りしています。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐07)

===遠くの親戚 近くの他人===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 初々しい緑の衣をまとった樹々、山が一回り大きくなった印象を受けます。鳥の巣半島の水田に早苗が植わり、五月の微風に揺れています。里山が水面に映り込む時間帯は日本の原風景としてインスタ映えする光景ではあるものの、苗の成長は意外と早く、そうなると汚れた鏡と一緒で映りが悪くなります。従って水鏡は限られた期間だけのお宝映像といえます。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐07)

===桜にまつわるエトセトラ===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 桜の花が風に舞い雨に打たれて散り去り、骨組みだけだった立木も急激に初々しい緑をまとい始めました。里のあちこちで草刈り機のエンジン音が響き、鳥の巣半島では田植えの関連作業が急ピッチで進行中です。 水温は天気の変化に呼応し、月初めは17~18℃台をベースに晴れると上昇、降雨になると下がるパターンが続いておりましたが、直近は18~19℃へとベースラインが上がっています。今のところ20℃を超えた日は記録されていません。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐06)

===Every journey begins with a single step===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 春先の田舎道は散り行く木々の花びらによって彩に富んでいます。梅に始まり、つい先頃までは寒桜。真っ赤な大振りの花々をタイヤで踏みつけるのが憚られました。また杏や桃もお馴染みで、締めは桜でしようか? 路上の花びらをゴミと見做すかどうかは際どい部分かもしれませんが、「目で観る春の移ろい」と考えれば心豊かになります。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐05)

===鳥類言語学のあけぼの===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 里山にウグイスの鳴き声が響き、一雨ごとに下草が伸びてきます。釣り場の裏山にあるビワ畑では袋掛け作業が最終盤に差し掛かった模様。 潮下帯ではお馴染みの海藻たちが存在感を高めています。ところがつい先頃、組合関係者が海藻の食害を防ぐ目的でウニの駆除を行いました。でもウニは全般に身痩せしているとのこと。一体何を食して命を繋いでいるのでしよう?...

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