鳥の巣釣り場通信(2025‐18)

===潮風は健康長寿に効果?===

 

10月半ばを過ぎても半袖シャツで十分過ごせていたところ、先頃急に冬の扉が開いたかの如く寒気が侵入し、長袖だけでは間に合わず薄手のカーディガンを重ねるまで一気に衣替えが進みました。冷気を感じ取ったのか金木犀も香りを放ち始めています。

海に目を転じれば、薄明の海面を行き交う“タチウオ”釣りの小舟。秋の深まりを感じます。釣り場来場者の方々も朝は冬とそん色のない衣装に替わりました。寒さを耐えるのはストレスですから、万全の準備は重要です。

水温は前線の停滞以降は顕著な下降に転じ、直近は23℃台まで下がってきました。海は蒼緑を呈し、透明度は中位となっています。今年は秋の使者“タコクラゲ”の来訪が極端に少なかったですね。

10月のチヌ類は2.2尾(一人当たり:暫定値)でした。サイズは前期に続き20~25㎝前後が圧倒的で、30㎝超えが極々稀に混じる構成です。筏周りには良型が群れているはずですが、なかなか喰いついて来ない状況と推察されます。サイドメニューはオオモンハタの幼魚やチャリコといったところです。祝いの品に「今日は”黒”より”赤”」と告げて釣り台へ向かったある日のUさん、獲物は全て黒でした。残念!

過日筏周りで“キジハタ”幼魚の放流を行ったのですが、相当数オオモンハタに食害されている模様です。

アジ類は20~25㎝前後が主体で日々の変動がやや大きい模様ながら、モニターTさんに依れば直近はやや上向き傾向か・・・。

アイゴは一時幼魚の喰いが落ちていたのですが、月末には回復の兆しが認められました。これに対し大中型は全般的に少なくなっています。水温からみると”アイゴ一本やり”のシーズンとしては先が見えてきた印象です。

 

鳥の巣海岸スタディ・ツアー(20名ほどの参加者を組合幹部が引率)

 

少し前に遡りますが、“海辺の暮らしが健康寿命を延ばすことに貢献するらしい”というニュースがネットで流れていました。同じ水辺でも海に比べて淡水の湖や河川の効果は薄いというものであった。と云われても、この種の話はデータが不十分である場合が多く評価が難しい。加えてネットニュースは面白いと思えば細かい吟味を省いて流す傾向があるため(まるでこの拙文のように)注意が必要です。

ただ先の話には頷ける節がないわけでもないのです。既に何度か述べたことですが、鳥の巣地区のある元漁協組合員は100歳近くまで自転車で往復1時間以上掛かる市街まで買い物や病院通いなどの用事を足しに出かけていました。自転車を漕ぐその姿はしっかりしており驚かされたものです。

ある漁協関係の夜の会合で出会った折はビールを片手に「98歳になった」と云っておられました。「耳が遠くなった」と云いつつも普通に話ができ、年齢を感じさせず、傍目には達者そのものでした。

鳥の巣半島にある我が家の隣の田んぼを所有している翁は90歳を超えても毎日電動自転車に乗って草刈りや水の管理に通ってきていました。また仕事振りが我々のような”なんちゃってアグリ人”と違って実に丁寧なのです。残念ながら3年ほど前に97歳で逝去されたのですが、亡くなる10日ほど前に自転車で圃場へ急ぐ姿を目撃しており突然の訃報に「なんで?」と驚いたものです。

現在95歳と記憶する別の翁は今夏田んぼへのイノシシの侵入を受け、これを阻止するため夜回りに出かけると云って大いに奥方を慌てさせ、「そういう無謀なことは止めてくれ!!」と懇願されたそうです(新着)。

鳥の巣半島は今でこそ限界集落的様相を呈しているけれど、先の事例からも分かるように10年ほど前までは健康長寿のエリアとの評判を博していいたのです。

片や山側に隣接する我が村落は男子(旧住民に限れば)にとって80歳がアイガー北壁の如き高い壁として立ち塞がっております。地域住民、特に婦人連は「寡婦の村」と自嘲気味に評し、「鳥の巣の民が元気で長寿なのは潮風が身体に良いからだろうか?」と訝っていました。潮風は干物を旨くしますが、ある種人間の健康増進に寄与する“何か“があるのかも知れません。

個人的経験ながら、これまで生活した土地の中で海が見える地域では精神的安定感が高かったように感じています。唯どうでしようか、国内で長寿県(2025年時点の平均寿命)の筆頭は滋賀で、海無し県の長野も引き続きランキングの上位を占めています。これらの統計データは健康寿命に関して言及はありませんが、潮風だけが健康長寿を提供してくれるわけでもなさそうに想われます。

現在この種の研究結果は食生活との関係で論じられることが多いけれど、「もう少し多面的な角度から調べて頂ければ面白いな」、と感じています。田辺市は熊野古道ブームで、山の魅力がマスコミなどで頻繁に採り挙げられている一方、海辺は津波の危険性が喧伝され、その地勢的価値が相対的に下がってきたきらいがあります。ここは一つ海辺の良さも広く伝えて頂き旧市内の賑わい回復に繋げて欲しいものです。

===お報せ===

さて、当釣り場では恒例のマガキの引き揚げ作業が11月10日(月)から始まります。作業は一月半ほどを想定しております。齢を重ねたベテランが集う予定ですが、その中のお1人が「今年は若手の参戦が見込めそうだ」と期待しておりました。

この作業の進捗に伴い使用できない釣り台が出てきますが、何卒ご理解ご協力をお願いいたします。

鳥の巣釣り場通信(2025‐17)

===未来へ繋ぐディスプレイ?===   移入植物は“セイタカアワダチソウが至る所で繁茂しています。この黄色い花が鮮やかだけれど繁殖力がすこぶる旺盛で、背の高いその茎は固いので駆除するにも厄介な存在です。あちこち荒らしまわっているイノシシもセイタカアワダチソウの群生地は避ける傾向が見受けられます。悪いことに、お仲間のブタクサの類もあちこちへ侵入しています。最近これらの判別法が分かりかけてきました。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐16)

===海は秋の表情に===   彼岸を過ぎ、釣り場へ急ぐ朝の時間帯は車のヘッドライト点灯が必須となりました。陽射しが届く昼間は夏の熱気をまとっていても、海上を渡る風は秋の気配を運んでいます。早朝は長袖シャツが欲しいくらいになり、海も秋の表情を見せるようになっています。時にゆったり漂う季節の訪問者“タコクラゲ”が目撃できます。 水温は8月末以降30℃を下回り、直近は27℃前後で推移しています。昨年2024年は彼岸まで30℃前後で経過し彼岸を境に下がり始めたのに対し、今年は8月末から低めに転じています。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐15)

===多様な自然が育むプランクトン性甲殻類===   紀南地方では早出しのミカンが市場に出回り始めました。スーパーで早生品種が8~10個で400円ぐらい。棚の前で初物を購入しようかどうか迷って結局買わず、でした。ヒグラシが力を振り絞って(?)鳴き交わしています。当初より鳴き声が安定してきたように想えるのですが、これって気のせいでしようか?? 自宅の杏が葉っぱを落とし始めました。夏野菜が無くなるこの時期、我が家は芋のつるが野菜替わりとなります。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐14)

===酷残暑にも秋の兆しが・・・=== 鳥の巣半島では稲の収穫作業が終了しました。裁断された稲藁特有の匂いが漂っています。時を合わせるが如く、あちこちでラッパ状の白くて大きな花のテッポウユリ(+ タカサゴユリ)が咲き始め、稲が刈られて単調に変った里の景色に彩を添えています。でもタカサゴユリは移入種であるため蔓延が危惧されています。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐13)

===厳しい決断===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 鳥の巣半島では稲の収穫作業が始まりました。例年、串本の坂本さん家の収穫作業が県下における先駆けとしてマスコミで取り上げられているのですが、今年はここ鳥の巣半島のN家が鼻の差でかわしたものと推察されます。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐12)

===水の助けられ水に泣く===   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 鳥ノ巣半島の入り口に立つ塩生植物ハマボウが鮮やかな黄色の花を着けています。しかしながら高い気温と少雨を反映してか普段の年より花数が少なく鮮やかさに欠ける印象です。早い梅雨明けとその後の高温に彼らも大変なのだろうな、と推察する次第です。...

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