===時代は巡る===

 

新しい年度に突入しました。同じことの繰り返しのようにみえても毎年少しづつ違っています。

里山の桜はすでに葉桜に替わってきており、散った花弁が田舎道に散りばめられています。藪ではウグイスが盛んに鳴き交わしており、「田舎の春だなあ~」なんて緩んだ気持ちで鳴き声を聴いていたのですが、「あれは繁殖の季節を迎えたオスが涙ぐましい自己アピールをしている姿なのだよ」と知人が教えてくれました。野鳥として生きるのも苦労が絶えないものです。

釣り場の3月の水温は気温の変動に呼応し16~18℃をベースに目まぐるしく変動する乱高下ともいえる状況でした。直近は19℃前後で推移し、20℃台を覗うまでになっています。

陸から眺める海は緑が優占しており、透明度はこの時期としては高く中位、時に上位レベルとなっています。

湾奥で3月下旬に軽微な赤潮が確認されました。今のところ急激に拡大する兆候はなさそうです。

3月のチヌ類は1.0尾(一人当たり)でした。サイズは20~40cm台後半の良型までバリエーション豊富となっていても50cm超は少なくなってきたかもしれません。ただ釣果は月の終盤になって上ってきたので、4月も好調が続くことに期待します。

アジ類は25cm前後が数尾程度というところです。近隣の磯場でアジ狙いのベテラン釣り師が夕暮れまで粘っていたので、これは満足のいく釣果があったものと推察しました。釣り場も好漁のお裾分けに預かりたいところです。

珍しいところで40cm超えのイシダイが数尾揚っております。こちらも季節到来です。尤も生息数が限られているので、昨年同様に短期間の勝負と推察します。

 鳥の巣半島の磯に集う釣り人(今風の釣りスタイル)

 

今春の“ヒロメ“は極度な不漁に終わりそうです。過日、漁協メンバーが集った小さな会議の後の雑談タイムでも話題になり、ベテラン達が「長い間ヒロメを採ってきたが、今年ほどの不漁は初めて」と話していました。お年寄りは何事もこういう物言いをしがちですが、現実にスーパーの棚にも並びません。

不漁の原因についてあれこれ仮説が出るものの決定打が出ず、「一体何が原因なんだろうね?」という具合で、いささか堂々巡り気味になりました。この種の議論ではよくあることです。と云いつつ有力候補が二つばかり挙がってきました。

一つは“アイゴ”による食害説で、実際「ヒロメの若芽に群がる莫大な数のアイゴの稚魚を観た」という組合員情報も入っています。ただベテランA氏が「いくら何でも全て食い尽くされることはないぜ」と疑問を呈すと、ベテランB氏が「そうやな~」と弱気に相槌。

もう一つは高水温説で、今年は釣り場でも20℃に迫る高水温が1月中頃から繰り返し観測されています。通常4月中旬になってみられるレベルの高い水温です。

これについても、「藻体が溶けてしまうほど高い水温とまで云えないでは」という意見があるといった具合で、万人が納得する結論に遠く、消化不良の疑念が深まるばかり。説明を加えると、シーズンが進むとヒロメは先端付近から枯れ死していくのです。

個人的には今冬の外洋系水の頻繁な接岸は例年より高い水温と低栄養環境をもたらし、これがヒロメの成長に影響を及ぼしたのではないかと・・・(素人が出る幕でもありませんが)。

そこに来て、「高い水温環境がアイゴ幼魚の高い生残や活発な活動を促した一方、成長が遅れて柔らかなヒロメの若芽がアイゴ幼魚の恰好の餌になったのではなかろうか・・・」と推察する次第です。つまり高水温と食害の複合説です 。

水温に関すれば、以前から冬は低いほうが海藻類の生育が良い印象でした。実際、高水温年の今年は海岸に打ち上げられる海藻が少なく、例年筏に大量にトラップされる流れ藻も今年は少ない印象を受けます。また釣り場周りの水中の海藻類も生育が悪く、湾奥の浅瀬でも疎林が目立っています。

他方、海藻でも“ヒジキ“はわりと生育具合が良いと聴きました。海藻の専門家Y氏の云うところ、「ヒジキは藻体が固く魚の食害に遭いにくい」らしいのです。

「ヒジキへの水温の影響は?」と問われれば、「「う~ん、その点はよく分かりません、ポリポリ」ですけれど、潮が引いて干出する岩場で繁茂するヒジキは温度や塩分などへの環境耐性があるはずです。

そんな具合で真相は不明ながら、新庄漁協のヒジキは人気が高く、我が家でも自家消費や贈答品として重宝しています。今年のヒジキ狩りに期待を抱きつつ結果を注視しています。