鳥の巣釣り場通信(2018-11)
=ウナギにまつわる小話=

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。ほぼ2カ月振りのブログ投稿となりました。この顛末は何れまた。

 ブログをお休みしていた5,6,7月のチヌ類の釣果はそれぞれ0.5、1.1,1.2尾(一人当たり)でした。数字としては昨年より幾分低めですが、細かな釣りのスタイルは一切考慮していないため、大まかなトレンドの把握と考えていただければ幸いです。また、アイゴはコンスタントに10尾前後、アジ類は時に爆釣が記録されています。

 最近の水温は28~30℃の間で変動し、数日は限りなく30℃に張り付いています。これまでのところ、気温は高めに振れている反面、水温は30℃超が頻発した昨年に比べると幾分低め傾向にあると認識されます。この釣り場は大気温を感度高く反映すると声高に申し上げてきたのに、どうしたことでしよう? 「湾内外との水の交換が活発なのか、西日本に大被害をもたらした豪雨が水温上昇を妨げたのか・・・??」、専門家の見解を伺いたいところです。


内之浦湾の夏の一景

暦の上では立秋。しかし実勢としてはまだまだ暑い夏、ウナギで乗り切りたいとお考えの方も多いでしよう。先の土用丑の日、スーパーの店先で焼きウナギを販売しているシーンが散見されました。近年のウナギ稚魚の不漁に反比例してうな丼やうな重の値段がロケット並みの急上昇、悲鳴に近い懸念の声が上がっています。私が遭遇した軒先販売では一尾3,000円の値段が付けられておりました。

ウナギの完全養殖は実験室環境で成功したばかりで、養殖用の稚魚は天然物に依存せざるを得ません。日本ウナギの産卵場は遠くマリアナ諸島近くの海山付近であることが日本の調査チームによって明らかにされたのは最近のことです。そこで誕生した稚魚が海流に乗り遥か台湾や中国、日本へとやってくるわけです。川に遡上する稚ウナギを採って養殖したものが我々の食卓に上っているのですが、前述の通りこの稚ウナギの漁獲量が近年極端に低下しています。資源保護の必要性が十分認識されてはいてもあまりにも生態に不明が多いため有効な手立てが打てないのです。また、漁業モラルの崩壊や反社会組織が係わった稚魚の密猟が横行し、コント―ロールが効きにくいのだそうです。夜間パトロールは命懸けのミッションと某県の漁業担当者がボヤいておりました。外国でも似たような状況でしよう、恐らく。

そのウナギ、かば焼きは至って好みですが、我々が口にする養殖ものは殆どがオスであることを皆さんはご存知でしたか? 自然水域での雌雄比は1:1に近いと推察されますが、養殖では何故かメスが産出され難いのです。水温、あるいは高密度飼育に因るストレス、はたまた人工餌料のせいなのか、オスに偏る要因は明らかになっていません。メスを産出できるのはごく一部の養鰻池と言われます。従って、日本人の大多数はメスウナギの味を知らないということになります。でも、シャモ(スーパーに出回るカペリンではありません)もオスが美味とは通の間の常識ですから、案外結果オーライになっているのかもしれません。

私は子供時代を除けば天然ウナギなど口にしたことはありません。市場にほとんど出回らない上に高価です。さらに、天然物は肉質のバラツキが大きいため専門店でも扱いにくいと聞いたことがあります。近頃は目敏い商社や水産業者が世界各地から様々なウナギ類を買い集め、果てはナマズ素材のかば焼まで出回るご時世、油断すると何を食べさせられているのかわかりません。そのうち、「私はインドネシア産」、片や「俺らはマダガスカル産のあれが好み」といった新たな食通が出現するのでしよう。でもその先には、世界中でウナギ類資源の枯渇という結末が予感されます。

 「ウナギも水温の低い冬場の方が旨い!」という言葉が記憶の片隅に残っています。“上りvs下り”カツオ、“春vs冬”のサワラなどなど、同じような事例は数多くあります。でも、世間に倣って踊ることが大事なのです日本社会では。