=巨大怪魚の目撃情報が増えている=

 

皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

先の黄金週間は終盤を除いてまずまずの天気に恵まれました。鳥の巣半島では好天を利して一斉に田植えが行われ、早苗が植え揃っています。浅く水が張られた水田はカルガモやサギ類の索餌場となっています。懐かしい里の風景ではありますが、彼らは早苗を踏み荒らす厄介者の一面をもっています。「コウノトリやトキが舞う郷でも米農家は人知れず大変なのだろう」と推察します。ところでこの辺のサギと云えばアオサギが主役でした。今年はシラサギが目立ちます。種類の異なるサギが喧嘩をすることもなく並んで餌を採っているのは食べ物が豊富だからでしよう。

海水温はコンスタントに20℃を上回ってきました。直近は21℃前後で変動しています。海の色は降雨後に濁りが入るものの、基本的に夏特有のグリーン系を維持しています。従って透明度も幾分低下気味です。

5月前半のチヌ類は0.4匹(1人当たり)でした。釣果は先の大型連休からこちら低水準の局面に入っています。釣果の下振れと軌を一にサイズも20~30㎝の中・小型に遷ってきました。この時期のサイドメニューはチャリコやグレといったところです。残念ながら5月はチヌ釣りにとって中だるみになりがちな傾向をここ数年のデータは示唆しています。

アジ類は全体として低水準が続いています。そうした中にあって、時に予想外の数字に恵まれることもあります。この背景は良くわかりませんが、忍耐強くチャレンジを繰り返して戴くしかなさそうです。豆アジはかなり釣れており、さらにスズキ類がわりと好調をキープしているように見受けられます。

アイゴは引き続き堅調に推移しています。チヌやアジハンターがひたすら忍耐を強いられる中、アイゴハンターのみが気を吐いている状況です。何度も繰り返しますが、この一夜干しはなかなか乙な味です。

 

 鳥の巣海岸から白浜を望見(五月のとある日)

最近のニュースが伝えるところに拠れば、九州沿岸で自然界に存在するはずのない巨大魚の目撃例が増え、しかも生息域を拡大しているらしいのです。 “ビッグフット”や“ネッシー”のような眉唾の話ではなくリアルな情報である。この怪魚は一般に“クエタマ”(“タマクエ”とも)と称され、味がよく高値で取引される高級魚“クエ”と、味はクエに及ばないが成長の早い“タマカイ”を掛け合わせて作出された人工魚である。

通常、異なる種から誕生した交雑個体は子孫を残す能力を持たない(=一代雑種)。有名どころでは “レオポン” (= “雄ヒョウ” x “雌ライオン”)や“ラバ”(=“雄ロバ”x“雌ウマ”)などがそうした例ですね。

数年前、知り合いの水産遺伝学の専門家から、「三重県で奇妙な魚が獲れ、遺伝子による種判別の要請を受けた。分析したところ上記2種の交雑を強く疑わせる結果であった。ついては何か関連情報がないか?」という問い合わせでした。そこで「近隣で養殖している実態や件の個体が養殖生け簀から逃げ出した可能性」などについて話した記憶があります。今後はこの周辺でも目撃例が増えるはずである。

先方は“戻り交配”によってハイブリッドの再生産が起こる可能性を危惧していた。仮に自然繁殖は無い(確信はないが)としても、養殖場からの逃避は(これまでの事例が示すように)今後も起こりうるだろう。対して我々はまだその影響を正確に見通せない。一般に成長した個体は他の大型魚から捕食される機会は著しく減少するし、個体自体の生存能力も増すはずである(=生残個体が増える)。寿命も長そうである。そうして生き残った多くの個体によって生息場の占有や他の魚種への捕食圧が強まるなど、生態系への影響は小さくないと推察される。

似たような話として、東南アジアではかつて“ウシエビ”(Penaeus monodon)の養殖が盛んであったが、今やアメリカ原産のバナメイエビ(Litopenaeus vannamei)が主役に躍り出ている。近年、養殖場から逃げ出したこの移入種が自然界で増えていると聴く。現地でも自然界での個体数増大と生態系のかく乱などの悪影響は当初から危惧されていた。が、「目の前の幸せ(=銭)にすがり付いてしまった(by 伊勢正三)」と云ってしまえば、言い過ぎであろうか・・・!?

我々が安くエビを食べられているのはバナメイ養殖の恩恵(?)とも言える。スーパーの棚を覗けばこのエビが席巻している。とはいっても、そのツケを払わなければならないとすれば、支払いは極めて莫大で長期に亘るはずである。

 

==お報せ==

現在、当養殖場(=釣り場)ではイワガキ(3L(400円:>400グラム/個)と2L(350円:300~400グラム/個)の現地販売を行っています。販売個数に限りがあり事前予約が必要ですので、購入を検討・希望されている方は養殖場にご連絡ください(☎0739 24 2761)。