=惜しむとも・・人も海も替わりゆく=

 

皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

つい最近まで湾内で小型船舶の操船実習が行われていました。その昔に受けた同様の講習を懐かしんでいます。「落水者発見。風下から救助に向かいます。」という具合に。私の場合、実地講習は海ではなく湖(洞爺湖)でした。陸水面は船の維持管理やスケジュールが天候に左右されにくい、といったメリットがあったものと推察します。

釣り場(=養殖場)ではマガキの引き揚げ作業が始まりました。ベテラン作業員たちが一年振りに召集され、筏上の喧騒と慌ただしさが増しています。日本の農林水産業の縮図を映し出す鏡のように根気のいる肉体作業が続き、それを担う作業員の平均年齢が毎年上がって行きます。機械化はともかく、若手の働き手が参入してくれるのが望まれます。

釣り場の水温は緩やかな漸減傾向を示しており、直近は20℃前後まで下がってきました。透明度は青みが入り、この時期特有の底まで見通せるような透明度の高い日がしばしば顕れます(北国の湖の如く)。但し、昨年に比べ天気の荒れる日が多くなっており、これが透明度や海の濁りに影響を及ぼしている模様です。

11月前半のチヌ類は1.4匹弱(1人当たり)でした。チヌハンターに限ればこの数字はずっと上がります。魚体は20~30㎝台前半の小型サイズが主体となっているものの、これまで同様ごくごく稀に40㎝超えが姿を見せてきます。例年通りならほぼこの調子が12月上旬まで続くと予想されます。サイドメニューはお馴染みのオオモンハタの幼魚、チャリコやアイゴに木っ端グレ、カワハギ類となっています。

アジ類は小アジ類を主体にまとまった数(うち1~2割ぐらいが大きめのサイズ)が沖合側の釣り台で揚がり、爆釣気味の青アジが気にならなければそこそこ納得できる状況です。大物を狙っているハンターH氏も最近は獲物に恵まれている様子。取りこぼしも多いようですが、それも釣りの醍醐味というところ。

アイゴは専門家が諸般の事情で姿を見せなくなった現在、モニタリング精度が落ちています。シーズンも最終盤ですから。とはいいつつもつい先日、昼休みの釣り黙認を条件にカキ作業メンバーに加わっている若手のH氏が昼休みの短時間に40㎝に迫る良型を5尾も釣り揚げる異常事態が発生しました。こうした現状から、今しばらくはある程度の釣果を期待するのはごく自然な流れです。

 

魚ハンターH氏快心の一尾(60㎝超のヒラスズキ)

 

 釣り場(=養殖場)には管理人のOB達が時折顔を出される。そうした折に、「事務所周り海底泥分堆積が進んできた。砂の堆積も前とは変っている」、という感想を近頃よく聴きます。

確かにここ数年でみても事務所の建つ海岸域が泥っぽくなった気がします。何より雨が降った後の釣り場の濁りが昔に比べて格段に増した印象です。陸地からの土砂の流入が増えたせいでしよう、間違いなく。

内ノ浦湾には湾内に流入する小河川が幾つかあるが、増水時にそのうちの一つの河川の濁りが特に顕著です。水の流れを辿っていくとある地点から濁りが強くなるので、そのあたりの山の何処かで浸食が進んでいると考えられます。山を削って宅地造成が行われたせいもあろうし、田畑の維持管理に人出が廻らず、荒廃が進んでいるせいもあるはず

土砂の流入によって湾奥干潟の水深が浅くなり、昔とはすっかり景色が変わってしまいました。昔は小舟が行き交い、マガキを養殖したこともあるというのに。このままではそう遠くない将来湿地に替わりそうである。

湾奥の潮間帯はマガキの生息場で、昔からシーズンともなれば地元住民が “カキ打ち”に精を出したものである。天然のマガキは小粒であるが味が濃く、地元では極めて珍重されました。近頃は高齢化が進み、磯に繰り出す住民の数が減ったのは景色のみならず文化の消失と云う点からも残念である。

ところでその天然マガキが近頃泥臭いのである。そのため昨年はシーズンの終了を待たずに“カキ打ち”を止めてしまいました。先行きが心配されます。

さてマガキの収穫作業が始まった当養殖の今年の出来具合が気になるところ。今年は夏の高水温で各産地とも不作と伝えられております。「当場も例に漏れず」がこれまで作業をしての印象です。成長の良い区域の作業はに入りつつあるので、微かに希望の灯がともるのを期待している次第。