=のんびりやろう クラゲなんだから=

 

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

朝早い薄明りのなかを軽四トラックが連なって畑へと急いでいます。紀南地方では梅の最盛期。出来は平年並みと見受けられますが、確かに不作との声は漏れてきません。片や直前にピークを迎えた鳥の巣半島のビワは例年にない不作と聴きました。そう云われれば、釣り場に通じる道傍のビワが実をつけていません。紀南地方の言い回しなら、「今年は“しろっと”している」、でしようか!?

  直近の水温は25℃前後で推移しています。海は緑~麻黄色の色調になっており、透明度が著しく低下しています。流入した土砂にしては回復が遅いためプランクトンが増えたせいだろうと考えられます。時節的にツメバイ採りには厳しい状況です。

この時期に発生する赤色の変色水が今年は極端に少なくなっています。原因とみられる潮間帯に生息する海藻が少ないためと考えられます。関連性は不明ながら、しばらく前から湾奥でミズクラゲが増えています。「目的がなさそうで・・・かといってある程度意志もありそうな・・」、何とも不思議な生き物です。ややこしい神経疾患とは無縁でしよう、恐らく。

5月のチヌ類は0.9匹(1人当たり)となり、前半から大きく持ち直した観があります。40㎝超えの良型も混じり、「まあまあ愉しめた!」という感想をいただいています。もちろん満足度のやや低い方もおられますが。サイドメニューとしてグレやサンバソウが揚がっています。今後、チヌの型は小さくなるでしようが、サイドメニューは豊富になってくるでしよう。

アジ類は引き続き両手前後に留まっています。南蛮漬けに適した豆アジも浅場で幾らか揚がっていますが、廻って来る時間が限られます。

アイゴは、名人クラスはそれなりに愉しめる(関係者談)上向き傾向と見做せそうです。

湾奥で繁殖しているミズクラゲ

  田辺湾の生産性回復プロジェクトの一環として海底耕うんを計画しているらしいことが地方紙に掲載されていました。海底に溜まった有機物や栄養塩を海水中に戻して落ち込んだ生産性を上げようとの意図です。手法は違うが各地で行われている深層水の汲み上げ事業なども栄養塩に富む深海水を浅海に戻そうという発想です。

瀬戸内海では近年栄養塩不足による養殖ノリの色落ち現象が頻発する話は既に紹介したとおりです。瀬戸内海の基礎生産を支える栄養塩の起源について、昔は陸域から河川等の流入によって海に運ばれると考えられていました。

ところが詳細な研究によれば瀬戸内海の栄養塩の過半が海峡部を通じて外海から内海へ供給されている実態が明らかになってきました。それなりの専門家を集めた勉強会でこの実態が紹介された際、強く異論(?不満)を唱えた海洋環境の研究者もいました。海洋学の教科書では陸から海域へと流れる栄養塩循環を示す概念図が示されていたから、それまで信じていた常識が揺らいだはずです。(フォローアップ不足でその後の展開は分からないが、興味があれば調べてみてください)

戻って、田辺湾の海底耕うんは「ある程度湾内の生産性向上に貢献するかもしれないけれど、その効果は極めて短期的だろう」というのが(老人の)個人的見解です。海底から舞い上がった土や粒状有機粒子にくっついて短期で再び沈降するだろうし、潮汐流や風送流による水平方向への移流・拡散もあるはずだから持続的な効果は期待しにくい。

さらには、海底の泥中には有害物質も貯まっているはずで、怪獣“ゴジラ”を眠りから覚ますほどのインパクトは無かろうとも(一時的な)環境悪化が起こりうる可能性が懸念されます。

しかし専門家の英知を集め、新しい試みに打って出るのは悪いことではない。フォローアップも充分に行って知識と経験を積めば将来への道が拓けるかもしれない。今回はその第一ステップとしての海底堆積物の調査とあった。