=よみがえれ 日本の職人魂=

 

皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。

桃の蕾が膨らんできています。自宅まわりのナンテンや西洋ヒイラギの赤い実は野鳥によってほぼ食べつくされました。人の目が遠い木々から近場へと徐々に遷り、最後は綺麗になくなります。小鳥には冬場の大事な餌であり、木々にとっては生息場所を拡げる機会となっているはず。実際我が家の周りのナンテンはそうやって増えてきたものです。

水温は16℃を超えてきました。直近は16~17℃の水準で微変動しています。海の色はすっかりグリーン系に替わり、植物プランクトンが増えてきたことを窺わせます。湾奥の浅場にミズクラゲが姿を見せ始めています。

2月のチヌ類は1.6匹(1人当たり)となり、サイズは25~35㎝と着実に成長している様子が窺えます。残念ながら産卵親魚と思しき大型サイズは未だ揚がっていません。が、過日来場のベテランYさんもチヌシーズンの到来を確信した模様。

アジハンターが姿を見せないためアジ類の実態は不明です。釣り場周辺に小アジが群れています。少し前に北日本各地で“マイワシ”(身体の斑点に擬えて“ナナツボシ”とも呼ぶ)の打ち上げが伝えられていました。マイワシは冷水を好む魚である。これに対して、この辺りで群れを形成するのは暖水嗜好の“カタクチイワシ”である。但し、筏周りのイワシ類は「竿を出しても一向に喰いつく気配がない」、つまり一筋縄でいかない連中のようです。他方、対岸の波止場にはアジ狙いの太公望達が詰め掛けているので、湾内には入り込んでいるはず。餌を撒かないと魚も寄り付かないということでしよう。

製品化のため掃除中の “ヒロメ(=ヒロハメ)“

田辺湾内のヒロメ(=ヒロハメ)漁が盛期を過ぎつつあります。岩場近くの浅瀬で箱眼鏡を覗きながら船の位置を定めつつ海底から立ち上がる海藻を巻き取る作業は高度な操船技術がいります。さらに刈り取ったワカメを製品や食品として使えるように形を整え、表面の汚れを落とす作業にも手間と根気が要ります。そうやってスーパーの棚に並んだヒロメには結構な値が付いていました。受給バランスと仕事量に見合う金額を勘案するとあの程度の値段になるのでしよう。

さて先日、延期されていたH3ロケットの打ち上げが失敗に終わったのは残念なニュースでした。その前にはイプシロン型ロケットの打ち上げが失敗しているから連戦連敗です。これでは宇宙空間に人間を送り込むには余りにも信頼性に欠けます。

台湾では日本製の列車のパンタグラフに不具合が生じ減速運転を強いられているとありました。様々な生産の現場で製品の検査データが書き換えられたり、部品の規格・品質に問題ありといった報告が続発している。工事現場で頻発する事故の一因は熟練の技術者が居なくなったせいだろう。

(私の記憶の中で)日本の職人魂の神髄といえば「まず好い品物を造る・好い仕事をする、儲けは二の次」であった。全員すべてとは言わないまでも社会通念として共有されていた。今や世界に誇ったジャパン品質の凋落が著しい(それでもメイドインジャパンに頼む気持ちは今なお大きいのですが)。

「盛者必衰」の理の通りかもしれないが、“グローバルスタンダード”が声高に叫ばれだした頃から世の中の空気がおかしくなってきた印象をもっている。外見をそれらしく仕上げた輸入品の“なんちゃって農機具”などは直ぐに不具合が生じる。田植靴の寿命は一年である。釣り場にある動噴のスターターロープは直ぐに切れてしまう。この種の道具を使っていてストレスを感じないのかしら、皆さんは。

あの当時、高名な経済学者や経営者などは「国内で造るより海外から買った方がずっと安い」といった発言をしておりました(微かに違和感を覚えたからこの事はよう~く覚えています)。そうして行き着いた末を我々は観ているに違いない。あの発言の主役達はこの現実をどう受け止めているのだろう(Chat GPTは謝罪も反省もしないそうだが・・・)。

昨年、我が家では永年使っていた五右衛門風呂を治した。修理してくれる専門家捜しに苦労したが、引き受けてくれた業者さん曰く「今や技術を継承した職人が殆どいない」、さらに「風呂釜なども生産が限られて自由に種類が選べる状況でない」という現実でした。

ある本を見ていたら、“いまは消え去った昭和の職業”がたくさんあった。年寄りのノスタルジックな精神構造と世の中の動きがどんどん離反しつつある。とはいっても生物の大量絶滅が発生した後に別の系統の生物群が取って替わって大繁栄し始めたという生物史が語る通り、ガラガラポンして再出発をする機会は必要なものなのかもしれない。歌謡曲に謳われる通り「旧い想い出は部屋に残したまま(新しい世界へ)旅立つわ・・」。