鳥の巣釣り場通信(2025‐19)

===辺境はタイムカプセル?===

 

金木犀がシーズンを終え小さな花が地面を黄色く染めています。またこの季節に路上でよく眼にするのはドングリです、ドングリやシイの実の凶作が各地から伝えられ、これがクマやイノシシを人間の生活圏に差し招く要因になっていると云われているものの、「我が散歩ルート上では決して少なくなさそうなのに」と想いつつ踏みしめています。そうした中、珍しく落下したアケビの実を見つけました。子供の頃はおやつ替わりの木の実、東北では天ぷらで食す地域もあるそうですね。

水温は前線の停滞以降は顕著な下降傾向に転じ、日によって20℃まで下がってきました。直近は21℃を前後しています。海は蒼緑を呈し、透明度は中位です。今年は秋の使者“タチウオ”が田辺湾奥でほとんど釣れなかったと聴かされました。

11月前半のチヌ類はほぼ2.2尾(一人当たり)でした。サイズは前期に続き20~25㎝前後が圧倒的で、30㎝超えがたまに混じるという構成です。マガキの引き揚げ作業をやっている筏周りに良型が群れており、「私たちは居るけれど釣られてあげられないんだよ」、という状況です。サイドメニューはオオモンハタの幼魚やチャリコといったところです。

アジ類は25㎝前後が主体で日々の変動がやや大きい兆候が見受けられるものの、直近はやや上向きとはベテランの情報です。

アイゴはどうやらシーズン終了で、数匹程度が釣り揚げられる状況となっています。

 

アケビの実

 

各地域で秋祭りの準備が進んでいる模様です。我が地区でも独特の笛の調べが夜の闇を破りつつ響いてきます。神社で獅子舞の練習をしているのでしよう。

いささか時宜を逸した観がありますが、近頃マレーシアで盆踊り大会が盛況に催されたというニュースを目にしました。この催しは昔からあったのかもしれないけれど、かの国と幾らか関係を持っていた20年ほど前にはあまり耳にしなかったので、盛況になったのは近頃のことではないでしようか。

日本人移民が多い南米でも日本人会を中心に盆踊りが催され、アルゼンチンなどでは他の民族をも巻き込んだ盛大な行事になっていると報道されています。まさしくユーミンの“真夏の夜の夢”の如くに!

片や本家の日本では観光イベント化に乗り遅れた伝統行事の多くが人口減少と担い手不足によって記憶の中だけの出来事になってしまいました。かつて我が地区では旧盆には小学校の運動場にそれなりに立派な櫓が組み上げられ、提灯のうす明かりの下に踊り手の大きな輪ができていた光景が懐かしく想い出されます。盆踊りは地域住民挙げての大きなイベントであり、先祖供養であると同時に今を生きる人々の息抜きのひと時でもあったのです。

時を経て、担い手が減ってきたためか盆踊りは地域の夏祭りとして縮小した形で継承(中断後に復活?)され、そこでは小さな盆踊りも催されていました。しかしここでも踊り手が次第に少なくなり、とうとう数年前に取りやめとなりました。今や正調の動作を憶えている人は数人あるかどうか・・・。地域固有の文化が一つ消えたわけです。

盆踊りは愛好家による持流にのったハワイアンダンスに取って替わられた模様です(ハワイの踊りが日本で受け継がれているということでもあるけれど)。そういう状況であっても、本家を離れた遠く異国の地で日本文化に愛着をもつ人々の間でいささか変質しつつも日本文化の一端が受け紡がれていることにある種の郷愁を覚えます。

こうした辺境タイムカプセル現象はかなり普遍的なものと考えられそうです。古来、中国から(或いは同国を経由して)もたらされた様々な文物や文化制度は本家の中国で失われていても日本で受け継がれているものが数多くあります。

奈良の正倉院はそうした文物の歴史を跨ぐ保存庫として機能しています。また仏教はといえば本家のインドでは絶滅に近く、またかつて盛んに研究されていた中国でも細々と生き残る存在となってしまった一方、日本では社会に深く根を下ろし我々の精神文化に今なお強い影響力を及ぼしています。また多くの寺社は歴史的建造物として受け継がれた精神性と共に万国の観光客を惹きつけております。

実は生物界でも起源種に近い種が分布範囲の縁辺で見つかるという例も多いのです。原始的な形態を保持した魚が深海で見つかるのはそうした一例で、駿河湾の深海ザメなどはよく知られています。また長期間にわたって外界から隔絶した孤島や海底洞窟などでは独自の進化を遂げた生物相が形成され研究者の注目を集めています。

生物は絶えず生活圏を拡大しようとしています。例えば駿河湾では南方系の魚がしばしば報告されてきました。こうした暖水系の魚種は夏の高水温期に新しい水域に辿りついたものの冬の低水温に耐えられずに定着できなったのですが(=無効分散、或いは死滅回遊という)、近年のように水温が上がってくると冬を乗り切って定着するものも出てきます。

釣り場でもつい先ごろ養殖ロープにこれまでになく多量の南方系のミドリイガイの着生が確認されました。似たような事例では、かつてオーストラリアで日本産のヒトデの一種が繁殖して大きな問題になったことがあります。これは幼生が船のバラスト水に取り込まれ途中の経路を省略した形でいきなり移送され、現地の環境が適していために定着したものと考えられています。

こうしたホームグラウンドから遠く離れた辺境(隔地)の群れは本家からの定期的な遺伝的交流が妨げられるため、旧い形質が保存されやすいと考えられます。これとは反対に他と隔絶された個体群は新しく起こった変化が薄まることなく素早く全体に行き渡り、その結果起源種とは明瞭に異なったものになることもあります。隠れキリシタンの信仰形態が九州の一部地域で特殊な変化を遂げて受け継がれた例と似たものといえないでしようか。どちらへ転ぶか、それは時々の条件との兼ね合いの中でたまたまこうなったという類のものと考えられます。

四面を海に囲まれ大陸からさえぎられた極東日本は良くも悪くも特殊な文化文明、生物相を育む地政学的特徴を有しているといえます。人間社会に限れば、我々が生きている現在の世界は交通網やインターネットの発達により地理的距離のみならず時間すら短縮されています。情報が多く判断の速さが求められます。強い外部圧力でままならない部分はあるけれど、人間社会のことなら知恵を絞る余地が皆無というわけではないはずです。

鳥の巣釣り場通信(2025‐04)

====人在りて街あり====   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 冬の底を抜けた感があります。南向き斜面の梅はほぼ満開です。路傍のスイセン、今年は咲き揃わないかと心配していたところ、いささか遅れて今盛期を迎えています。聴くところ例年に比べてクマノザクラも開花が遅れ気味とか。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐03)

==海辺の日差しは春へ==   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 梅の蕾がほころび始めていました。ここ1,2日は快晴で春の暖かさとなりました。釣り場近傍のビワ畑では袋掛けの最中です。 釣り場の水温は15℃を前後しています。海の色は碧みが強く、高い透明度を維持しております。筏の上から海底が視認でき、海草の背丈が伸びたことが一目で確認できます。近所のベテランが今年初のヒロメ採りに出漁しており初出荷を行ったようです。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐02)

==冬の装い==   平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 テレビの映像で観る串本の水仙群落は一面の花に覆われていました。一方この近隣で観る水仙は常より花を付けた株が少なく、叢の開花が揃っていない印象を受けます。知り合いの家の庭で満開の紅梅を見つけました。 真冬にしては暖かい日が続いては数日後に寒さが戻ってくる繰り返しです。風の強い日は外の作業もつらいのですが、風の渡る道筋やそれによって変化する海の表情を目で捉えることができます。...

鳥の巣釣り場通信(2025‐01)

==2025(R7)年の幕開け==   新年あけましておめでとうございます。日頃は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 先の年末年始、紀南地方は天候に恵まれ、割と穏やかに過ぎていきました。昨年の能登の大震災のような大きなニュースも無かったのは幸いでした。...

鳥の巣釣り場通信(2024‐22)

==2024年の年の瀬==   みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 季節はすっかり冬です。強めの北風が筏の上を吹き抜けていきます。いつの間にかナンテンの実が赤く色づき、里の冬を彩ると共に野鳥の貴重な餌になっています。冬枯れの路傍は寂しいけれども下草刈りに追われないという開放感があります。 釣り場の水温はコンスタントに20℃を下回り、直近は17℃をベースに上下しています。夏以降は、昨年、一昨年に比べて1~2℃高めの傾向がずっと続いています。...

鳥の巣釣り場通信(2024‐21)

==落ち葉は雨垂れに似て・・==   みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。 路傍のあちこちに背丈の低い水仙の叢が現れはじめました。繁殖力が強い種らしく、この10年ほどの間にもぐんぐんと生息域を拡げています。花は白色がスタンダードですが、黄色もあります。ナンテンや寒椿にはまだ少し間がありそうです。...

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