鳥の巣釣り場通信(2024‐06)

==ふるさとは何処ですか?==

 

みなさんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご愛顧いただき誠に有難うございます。

釣り場の事務所から花を開かせはじめた山桜があちこちに散見されます。中には散り終えた木もちらほら。遺伝的に多様な山桜は順を追って咲いていきます。それぞれの木の開花時期はある程度決まっているのでしようけど。

これに対して遺伝的に均質なソメイヨシノは一斉に咲いて一斉に散る短期決戦型です。これが日本人の心性の形成に少なからぬ影響を与えた〝アレ“ですね。一斉に咲き誇るのも壮観ですが、細く長く続くのも生命への安心感があります。

釣り場の水温は目まぐるしい上下変動を繰り返しつつも全般的には低め傾向で推移してきました。例を挙げれば、3月に入って15℃を下回ったのは昨年が2日でした。ところが今年は20日を数えました。

各地でサクラの開花が遅れているとの報も聞かれます。熱の大気―海洋大循環の中で連動した影響に因るものなのでしようか? さすがにこの後は気温・水温共々昇温傾向が見込まれ、直近は20℃を覗う水準まで上がってきております。

海の色は引き続き緑をベースにやや碧味が強まってきており、透明度は中位となっています。筏周りでは遊弋するミズクラゲの群れが目に付きます。

3月のチヌ類は2月より下がって0.5匹(1人当たり暫定値)でした。雨に加えて風の強い日が多かったため釣り日和と云える日が極端に少なかったことに加えて、アジハンターが頑張った分母の加算によってチヌ釣果が過小評価されているため、上の数字よりは釣れた実感があったと推察しています。そのチヌは産卵期に入った模様で、竿を出せればどこかの釣り台で40㎝超えが期待できる状況です。既に今年初の50㎝超えがNさんに拠って揚げられております。後は天気と運次第でしようか。

アジ類はわりと好調が続いておりました。但し、ここにきてベテランのアジハンター氏から「釣果が下降局面に入ったかも・・」という弱気が漏れ始めているのは懸念材料です。しかししかしその言葉が消えないうちにまとまった数を釣って意気揚々と引き揚げてきたので、魚の集まる時間帯を掴まえればまだまだいけそうな模様。

アイゴは良型の魚影が見えるとの報が届きました、シーズンインもそう遠くなさそうです。

 

渚のバルコニー”(旧釣り場事務所跡)から望む桜

 

年度替わりは人生を画期する季節です。この春、就職や入学で生まれた土地を離れる若人が大勢いるはずです。その中にはこの地に再び戻らない人も多いはず。

往年の歌姫テレサ・テンに「ふるさとはどこですか?」という曲があったのを想い出しました。 あるいは小学校唱歌“ふるさと”の方が一般に通っていますかね。愛郷心に訴えて地元への寄付を募る“ふるさと納税”という制度もあります。が、これは当初の設計理念から遠ざかりつつあるやに見受けられます。

ところで私は20歳前に生まれた地を離れ、以来、幾つかの地域に住みました。他所の土地にいくと「貴方どちらから来られました(Where did you come from・Where are you from )?」と尋ねられる機会も多く、必然的に自らの拠り所を意識することが増えます。

先の問への返事は、“本籍地 → 田辺(実は”白浜“の方が知名度あり) → 和歌山 → 日本 → 田辺”という具合に、自らの活動範囲に伴って遷っていきました。因みに宇宙飛行士は“故郷は地球”と意識する傾向が強まるそうですね。

私は新しい土地に馴染むのに時間が掛かる性格でしたが、「どの地も住めば都」という実感はありました。ただ異動を繰り返していると何処も故郷感覚が薄れていき、歳を重ねるに従って「終の住処は何処になる/するか?」という想いが湧き上がってきました。転勤の多い職場であったため多くの同僚が大なり小なり似たような悩みを抱えていたようです。

私には年老いた親に先祖からの土地もあったため田辺が“還るべき土地”と云う意識が奥底にあったものの、現役時代特に若い時は故郷への想い入れはそれほど強くなかった気がします。しがらみがなければ、おそらく別の選択肢もあったと想います。

これには奇譚があり、定年の迫ったある日の夕方、見知らぬ年配女性が実家に立ち寄り、「お宅の息子は家を離れようとしているから引き留めなさい!」と告げて立ち去ったそうです(既述かも)。一体何があったのでしようかね!?

 結果として、様々なしがらみに絡めとられて(?)生まれた地に戻ったわけです。数十年振りの故郷はちょっとした違和感がしばらく付きまとったのですが、もう慣れてしまったというのが実感です。

田辺は台風が多く津波への心配も尽きない土地柄ですが、特段の不満も無く田舎生活に馴染んでいます。東日本大震災とその後の混乱状態を垣間見た一人として、大都会よりむしろ田舎の方が暮らしやすいというのが疑いのない感想です。

ちょっと横道に逸れますが、世の中には「定年後は海外で・・」という人たちがおられます。「余程現地への適応力が無いと外地は終の住処になり難い」というのが私の意見です。実際、随分以前から行き場のない日本人高齢者が東南アジの各地で社会問題になりつつありました。「身体が動く間しばらく海外生活」というのは有りかも知れませんが。

ヒントの一つとして、国際的な会議で、何かといえばアフリカ、アジア、ラテンアメリカといったエスニックグループが形成されていた様が想い出されます。文化的背景が近いと何となく落ち着くようです。

 

鳥の巣釣り場通信(2023-24)

=釣り場の記憶2023=   皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 鳥の巣半島に点在する水仙の小群落に花を付けた株が出始めています。寒椿や山茶花にはいま少し間があるようです。 釣り場の水温は12月に入って16~18℃の間で動いていたところ、先般の寒気襲来で14℃台まで下降、その後わずかに持ち直して(?)直近は概ね15℃を前後しています。...

鳥の巣釣り場通信(2023-23)

=音の記憶=   皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 鳥の巣半島のあちこちに散在する小さな水仙群落に花を付けた株が出始めています。寒椿や山茶花の開花はもう少し先のようです。 釣り場(=養殖場)で行われているマガキ養殖の関連作業は稚貝の垂下へと遷っています。作業筏の下には「こんな大物が何処に隠れていたのか?」と思わせる大型のチヌ達が群れています(写真参照)。また、紋甲イカの幼体が造る小さな群れが釣り場作業員たちのホークアイによってしばしば目撃されています。...

鳥の巣釣り場通信(2023-22)

=寒気が招いた養魚カタストロフィー=   皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 夜明けが遅くなっています。まだ暗い事務所に到着して空を見上げたら一筋の線。「ずいぶんきれいな飛行機雲だな、おっ2筋あるぞ!」と眺めていたら、「なんと、電線ではないか」。目の調節機能が低下したトホホな状況です。 釣り場(=養殖場)で行われているマガキ引き揚げ作業は北側(向かって左側)を終え、南側半ばに移っています。今年は荒天が多く作業の中断が多くなっており、すべての作業が終了するまでまだ10日間程は掛る見通しです。...

鳥の巣釣り場通信(2023-21)

=惜しむとも・・人も海も替わりゆく=   皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 つい最近まで湾内で小型船舶の操船実習が行われていました。その昔に受けた同様の講習を懐かしんでいます。「落水者発見。風下から救助に向かいます。」という具合に。私の場合、実地講習は海ではなく湖(洞爺湖)でした。陸水面は船の維持管理やスケジュールが天候に左右されにくい、といったメリットがあったものと推察します。...

鳥の巣釣り場通信(2023-20)

=歌は世につれ・・・ 彼が残してくれたもの=   皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 日に干した布団がご馳走になる季節です。事務所から望む里山のあちこちが薄黄色に替わってきました。海に目を転じれば、シラスの船曳船団が田辺湾奥深く入り込む光景がしばしば観られます。 釣り場の水温は緩やかな下降傾向を示しており、直近は22~23℃台で推移しています。透明度は青みが入りいくらか~かなり高めに転じたように見受けられます。...

鳥の巣釣り場通信(2023-19)

=秋の扉がバーンと開いた・・・=     皆さんこんにちは。平素は鳥の巣釣り場をご利用いただき有難うございます。 釣り場事務所へ向かう早暁の冷え込みは晩秋並み。秋の扉が開いた途端、真っ盛りの秋に運ばれてしまった感があります。まるでモンゴルの季節の遷り変りをみるよう。M聖子の如く「・・・裸のままで飛び出す」なんて、とてもとても。あちこちで「衣替えの準備ができていない」という戸惑いの声が漏れていました。...

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